BUTTER 柚木麻子著

Pocket

日頃、小説は読まないのだけれど子供に薦められて読んでみた。柚木麻子の小説は確か2冊目だけれど前回同様なかなか良く書けており、細かな描写も自然で全体の流れを阻害する事なく、わざとらしさもなくすんなり入って来る。
ただ、そのぶん読者を引きずり回すような展開の妙やスピード感には少し欠けるかな。でも、推理小説じゃなく文学作品だからねぇ。
それは僕の好みの問題であり、まあ上等でしょうと言う感じ。
最近の作家の中では気に入っている人かな、あまり小説は読んでいないので偉そうな事は言えないのだけれど。

この本、最近の日本社会での画一化された標準化の流れのようなものに対する作者のアンチテーゼが全体を貫いているように見える。
例えば、女性の体形や食べ物のあっさり味やカロリーについて社会通念とそれを疑いもなく受け入れて一喜一憂している個人。異性や同性との関係にしても社会常識が念頭にあっての自分の考え。
そんな今の日本社会を連続不審死事件の被告を軸に展開するストーリーの中でこれでもかと提示しているように僕には見えた。

まあ、カロリー控えめなマーガリンよりバターのほうがコクもあり風味もあっておいしいよなぁ。これ、あたりまえ。
この当たり前をちゃんと認識できていないと世の中に振り回されてロクな事ないよと僕も常々思っているので、作者には同感。
と言ったはいいが、ホントに作者はこの本の中でそんな事言っているのかと問われれば、たぶんとしか言えないけどね(笑)

最後にひとつ。
569ページに篠井さんの娘さんが、里佳に「父からうかがいました。・・・」とあるんだけれど、これ敬語表現としておかしいと思う。内容からみてもちゃんと敬語も使えないバカ娘ではなくしっかりしたお嬢さんのようではあるので、やっぱりおかしい。
もうひとつ、あまり日常では使わないような表現があったけどどこか忘れた。とにかく、作家が唐突にどこかからか探して来たような表現を使うのを僕は好きではない。なんの意味をその文字に込めているのだろう。ただ、普通の読者が辞書をひかなければわからないような言葉を書くのがかっこいいとでも思っているようにしか思えない。他の最近の作家の本でも見つけたので、流行っているのかもしれないが、本の中でなんぼ偉そうな事書いても、かっこ悪くて軽薄に見えるぞと言いたい。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。