先日、”土の文明史”という本を読んでなかなか面白かったので同じ著者の本を探していたら見つけたこの本、最初は、”土と内臓”なんて変な題名からは内容がまったく想像できなかった。
土と内臓?どこで結びつくのかと思って読み始めた。
シアトルに古い家を買った著者夫妻、生物学者である奥さんは一生懸命庭造りを始める。
土が大切だとスターバックスのコーヒーかすや動物園の草食動物の糞から作った肥料を土に与え、5年間で近所の人や園芸家が見学に来るまでになった。
そして、奥さんに癌が見つかる。
まあ、そんな小説っぽい話は、ほんの少しなんだけど読み進んで行くうちにどんどん好奇心をそそられて、先に進みたくなる。
土に有機物を与えてもそれは植物じゃなく微生物が食べているとか、B・フラギリスという細菌は人の免疫機能に関係していて抗原を樹状細胞に渡すとか、人間の大腸を裏返すと植物の根と似ているとか、そんな話をされたら興味は尽きない。
内容も歴史的な話を交えながら丁寧にひとつひとつの事柄を説明しているところは、研究者らしく好感が持てる。
だから、良くある健康と言うキーワードから体内微生物環境などにアプローチしているお医者さんの本などと比較しても、その反対の微生物側からの本だけど妙に説得力がある。
歳を取って来た自分自身を振り返ってみても、最近あちらこちらの関節が痛いのは免疫機能のバランスが崩れて炎症が多発しているのではないか、それは、マイクロバイオーム(体内微生物環境)がアンバランスになっているからかもしれない、なんて単純な僕は考えてしまう。
そして、昨年唐辛子やバジルが不作だったベランダのプランターの土をどうにかしようと思いをめぐらす。
しかし、とにかく外国のこういう本は、構成がうまい。
家を買って庭造り、土の話や植物の話から人間の体内の話にスムーズに進んで行く。文中に使われている用語や名称は変に省略されたりしていないが、文章は平易で分かりやすい。
日本の本は、とっつきにくい文章や難しい用語の本か、妙に簡略化され過ぎてて内容の薄い本が多いような気がする。
著者か、それとも編集者が優秀なのか、推理小説のように読み進めてしまう。
そして、単純な僕とその家族は、”ジョコビッチの生まれ変わる食事”なんて本を読み、”グルテンフリー”とはいかないまでも”グルテンなるべくOFF”なんて言いだし、ついにはピラティスポールまで買ってしまった。
それにしても、このリビングに転がっているウレタン棒、どうやって使うんだろう?