天才数学者ラスベガスとウォール街を制す エドワード・O・ソープ著

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ある時は読みたい本がいくつもあって困るときがあると思えば、本を読む事に疲れてしまう時もある。と言うか、興味や好奇心が枯渇してしまったような気がする時もある。これが、歳をとると言う事なのだろうか?
そんな時、息子に「何か本ある?」と聞いてみた。
その答えがこの本だった。
ただ、「あんまり面白くなかったけど。」とは言われたけれど・・・

題名が”ラスベガスとウォール街を制す”だし、おまけに”天才数学者”とくれば、何かハリウッド映画みたいで凄く期待させるものがあるんだけどな、面白くないかぁ。

お話は著者のソープさんの自伝なんだけれど、数学の研究者が机上だけでなくギャンブルや投機の実際の現場で腕を磨いて勝利した。本当に凄い事ををやってのけたんだなと言う事が、特にギャンブルや投機の経験がない人でもなんとなくわかると思う。
それが、淡々と書かれている。

前半のギャンブルのところは、ブラックジャックを知らないとイメージがわかないかもしれないが、後半の投機のところでは儲からない投資信託の仕組みや金融と政治の癒着など興味深いところも多々ある。
特に、これから株や投資信託などをやってみようという人達には知っておいて損はない話もあるし、年寄りには過去の金融界の懐かしい昔話もたくさんある。

結局、エンターテイメント小説ではなく、本人の人生の記録である自伝なのだから、まじめに書けばこうなるのは当たり前なのかもしれないけれど、最初から最後まで淡々と盛り上がりもなく進んで行く。
これが、上下2冊で続くわけだからちょっと飽きてくる。
内容は豊富だから、ただ単に上下2冊は長過ぎるとは言わないけれど早く先を読みたいと言う気には、あまりならない。
結局、何と言うか辞書を読んでいる感じとでも言おうか、今日読まなくても暇が出来たらまた読もうかと言う感じかな。

だから、もっと登場人物の特徴やエピソードを紹介したり、素人では判りづらい金融用語をイメージしやすく説明したりしてくれるとか。
そうでなければ、狭い範囲でいいからもっと深く広く読者の好奇心を引っ張ってくれて、
「それじゃ、これはなぜこうなるの? パパ、教えて!」
なんて感じにしてくれるといいんだけどなと思う。

まあ、この淡々と書かれた本から見ると、ご本人はまじめで誠実な人なんだろうとは想像出来るけれど。
だからこそ、もうちょい編集者に頑張って欲しいと感じた。
それにもうひとつ、著者の奥さんのヴィヴィアンの言葉遣いが、ミニスカ、茶髪の女子高生のようで、ある程度の年齢の大学教授婦人とは思えなかった。訳者ももうちょい頑張ってねというところだね。

こんなところが、息子の下の言葉として出て来たんだと思う。
「あんまり面白くなかったけど。」

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