スウェーデンの税金は本当に高いのか 竹﨑孜著

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地球温暖化が世界的な問題になって久しい、日本でもなんでか知らないがガチガチの常識である。「本当にそうなのかなぁ?」なんて言うとバカじゃないかという風潮である。でも、20年以上前だったと思うけれど、IPCCの前身の団体は近い将来にヒマラヤの雪はすべて融けて無くなるとか、ニューヨークのマンハッタンは数年後に水没するなんて言っていた。

そもそも、地球の気温は19世紀頃から上昇していたのに人間の二酸化炭素排出量増加は第二次世界大戦以後と言うのは、どういう訳!
たぶん、今頃はちゃんと説明されているのかなぁ。まあ、確かめて見る気も失せてるけど。

そもそも、そのIPCCの前身の団体は英国の原子力発電所の近隣住民に原発の安全性や必要性を啓蒙、広報する団体だったんでしょ。そんな団体が国連と関係ができたからと言っても、温暖化の90%以上は人間のせいだなんてすぐには納得できないのが、僕の悪い癖。←by 相棒

そんな悪い癖を持つ僕は、日本のマスコミや政治家がスウェーデンは重税で、あんなに税金を取られたら買いたい物も買えないとか、金を稼ぐ気力も失せるとか言うのを聞くと、ホントかなと疑ってしまう。
この場合の「ホントかな」とは、スウェーデン人は買いたい物も買えなくても、そして、金を稼ぐ気力も失せているのに重い税金を払い続けていると言うこと。

結局、教育とか医療とかがタダでも働かない奴のところにも相当流れて、払った分は当然戻って来ないんだろうと言う人も僕の周りにもいる。
ただ、「払った分は当然戻って来ないんだろう」と言う言葉の裏には、税金を払わず貰う側の人々を見下して、自分が多数派に属している安心感と優越感に満足しているのが、僕には透けて見えるが・・・・

と言うように日本では、いろいろと言われているけれどイケアはスウェーデンでしょ、一部買収されたらしいけどボルボもサーブも、僕も持っていたエレクトロラックスもスウェーデン。
だから、スウェーデンって世界的にも頑張ってる資本主義バリバリの国なんじゃないの?

いやいや、資本主義と言っても社会主義に近いんでしょ多分、だって、重税と社会福祉の国でしょ。
結局、この本を読むまでは僕自身もスウェーデンの事を何も知らなかった。
それからもうひとつ、小さい政府を目指している日本やアメリカが財政赤字で大きな政府のスウェーデンが財政黒字だということを何かで読んで俄然好奇心が湧いて来た。
だから、楽しみにしていた。

で、読んでみて良く分かりました。
内容も分かりやすく、ちょっと知りたい僕みたいな人間には量も少なめで簡潔にまとめられていて、読みやすかった。ただ、整合性に疑問が少しという箇所もあったけれど全体的には良くまとめられた本だと思う。

スウェーデンの社会システムは、この国の人たちが、国民の合意のもと長い時間をかけて作り上げてきたシステムであり、国民は重税感を感じながらも現在の社会システムを維持していくためには仕方ないと思っている。

その社会では、男女とも働くことが当たり前であり、それを可能にする為に出産、子育て、教育、医療等々で心配することなく働ける環境が整っていること。
だから、世界でも早くに高齢化社会を迎えたが、それを乗り越え人口も増えつつあること。
歳をとっても生活の心配がないから老後の資金も必要ないこと。

また、福祉は全員が対象なので事実さえあれば申請とか承認とかの事務処理が必要なく例えば出産したら病院から保険部局に自動的に知らせが届き、出産や育児手当等が勝手に送られてくるらしいとか、いろいろと書かれている。
とここで驚いたのは、日本とスウェーデンの家計調査でスウェーデンには、医療費や民間保険の支出がない、子供の教育費や教育資金貯蓄も必要ない、老後の資金なんて何それって感じ。だから、税金を払ったら全部使ってしまえるんだとか。

良く考えれば当たり前だよねって言われそうだが、僕は、スウェーデンの福祉政策などが日本のテレビなんかで話題にされているときにそんなこと聞いた記憶がない。まあ、僕の記憶がないだけできっと向こうは話しているんだろうけどね。

この本で簡略的に紹介されている例だと、同じ年収700万円のとき可処分所得がスウェーデンでは490万円、一方日本では403万円くらいになるらしい。
これ単純に日本の税率20%にしていたり、スウェーデンでは全額会社負担の社会保険料の分を勘案していなかったりして、単純には比較できないと思うんだけど、それを考えても可処分所得は、日本と同じかスウェーデンのほうが多い。

ただ、ここから消費税の差を勘案するとだいたい同じくらいになるのかな。
同じくらいでも上等、僕くらいの歳になると将来の生活の心配をしなくていいということがどういうことか実感できるからね。

この本を読んでいると日本って貧しい国なんだなと思えてくる。
国民には不正受給があるから生活保護制度はやめろとか言う輩がいると思えば、政治家は選挙直前に誰かが「保育園落ちた日本死ね!」と言えば、ハイハイ保育園作りましょと言い出す。教養がないのか精神が貧しいのか、太平洋戦争開戦もこんなふうに始まったのかと思えなくもない。

多分、日本では消費税を30%にしても所得税を増税してもこんなシステムはできないし、できても運用できないだろう。スウェーデンでは、3人に1人が公務員だなんて聞いたら日本の政治家や官僚はビックリしてずっこけるかもしれない。そして、スウェーデン人はこのシステムを作るのに100年もかけてきたと知ったら気絶するかもしれない。
日本人なんて3年先のことさえ考えられないんだろうなぁとここ何代かの総理大臣を見ていて思っていた僕は、この本を読んでちょっと暗い気分になってしまった。

とにかく、税金が高い安い以前に払った税金が国民にちゃんと還元されているのかどうかもっと日本人は気にすべきだと思う。
それをやらないと日本人はいつまでも幼稚で怠惰な愚かな国民のままのような気がする。

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