最強組織の作り方 L・デビッド・マルケ著

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僕は、小さい頃から俗に言うリーダーシップと言うのが性に合わなかった。
他人から指図されるのも他人を指図するのも嫌いだった。

少年野球のコーチをやっているときは、子供達のほうから「あれやりたい」とか「これやりたい」とか言って欲しかった。

社会人になって仕事をするようになっても、自分から「こうしたい」とか「ああしたい」と言う人は少ないように思われた。

これって、日本人の特性なのかと思っていたが、ただ単に他人に決めて貰えば楽だと言う事だと思う。
自分で考えなくてもいいもんね、と言う事だろう。
または、子供の頃から親に指図ばかりされて育ったからかもしれない。

でも、そんな楽な事をしていたら小さな楽しみで終わってしまう。もっと自分で考えれば、知的好奇心を満足させたり、知識を得られたり、仲間とのコミュニケーションで連帯感や達成感も違うのに。
各個人がもっと能動的に対応すればチームの実力も飛躍的にアップするだろうな、なんて思っていた。

実際、それを少しは試みた事もあったし、いろいろな事を試した結果か、偶然の産物かはわからないけれど、そんな能動的なチームが出来たときは確かに強かった。
だが、それは大変難しい。
それは、生半可な考えや行動では実現しないだろうし、端緒にもつけないだろう。

この本は、それを実際に成し遂げた男の記録だ。だから、随所にそうだろうな、ああだろうな、なんて共感できる部分が多くあったし、さらっと書いてある箇所もそんな事がそんなに簡単に解決するのか? なんて部分もあった。

また、この本に書かれていることが短期間で達成されたと言う事は、潜水艦という閉じられた環境の中で、絶対権力者の艦長と言う立場があったればこそだとも思う。

とにかく、この本に書かれている事は確かだし、強い組織を作るエッセンスがちりばめられていると思う。しかし、この本に書かれている事をマネしてもなんにもならないだろう。

この本には、具体的な手順や対処方法などは殆ど書かれておらず、基本的な考え方が書かれているだけで、具体例があったにしてもそれはエピソードに過ぎない。

この本に書かれている何より大事な事は、各個人が主体性を持って能動的に働いている組織は優秀だと言う事、そして、このチームリーダーはチームメンバーひとりひとりに強い愛情を持っていたと言う事だろう。
そして、僕が思った事をもうひとつ付け加えるならば、こんなに賢くて勇気のある人間は実社会にはそうそういないと言う事。

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