この著者のルイジ・コルナロと言う爺さんは、15~16世紀のルネサンス期の貴族だった人だ。
102歳まで生きたそうなので現在の基準でみても相当な長寿なのだが、この爺さん、仕事はバリバリ、乗馬はするは目も耳も達者で、最後は昼寝の最中に眠るように亡くなっていたらしい。
そんなコルナロ爺さんの健康法を本人が書き記したものが、この本だ。
この本は四つのお話から出来ていて、その話のそれぞれに編訳者の中倉玄喜さんの解説がつくという構成である。
まあ、この四つのお話はそれぞれあるのだけれど結局は、極小食と言うものに行きつく。
それでは、この極小食と言うものはどういう内容なのかというと、パンと卵の黄身、少しの肉、スープ、これらを350gとワインを400cc、これだけ。そして、これらを一日2回にわけて摂っていたのだそうだ。
この食事、解説によると現代の目安で表すと茶碗1杯のご飯と缶コーヒー1缶程度の量らしい、ただ、ちょっと僕の感覚からするとそれよりは栄養的にはいいでしょと言いたくなるけどね。
この爺さん、当時からこの極小食をいろんな人に勧めていたらしいが、なかなか出来る人がいなかったようで、それを嘆いている。
まあ、そうだよなぁ、本人が貴族だからまわりの人も金持ちだろうし、いちど贅沢を知ってしまえばなかなか節制なんてできないわな。
現代の日本でも、飽食の時代とか言われる中で我々がこの爺さんの勧める極小食を実行できるかと言われれば難しいと言わざるを得ない。
この僕自身、グルテンフリーとか言っているけど実行するのはなかなか難しい。
まあ、この本に書かれている事には具体例はほとんどなく啓蒙書のような内容であるから極小食を実行しようとしても他の書物等をあたって研究する必要があるだろうし、まあ、この本の意義としても読者の意識の変化を期待する程度だと思う。
ただ、この爺さんの食事の話は置いておいて、亡くなるまで仕事をして、書き物や運動も適度にして、そして何よりストレスフリーだった事が窺えるのがキーポイントじゃないかと思った。
それは、今年95歳になる僕の父を見ていて思う事と重なる部分だ。
文字も大きめの142頁の本、歯科医院の待合室でさらっと雑誌感覚で読むのにちょうど良かった。