人工培養された「脳」は誰なのか フィリップ・ボール著

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この好奇心をそそる題名にひきつけられプロローグを読み始めるとすぐに著者の肩の肉から脳が出来ているような記述に行き当たり、わくわくする。

ところが、本章に入っていくら読み進めてみてもそんな記述はどこにも見当たらない。脳は、どこに行ったのか?
最初のうちは、生物学と言うのか細胞学と言うのかの歴史を振り返った記述が延々と続く。
そして、それが細胞の話や遺伝の話へとなって行く。

おいおい、早く人工の「脳」の話に入ってくれよ、なんて思うかと思いきや、全然そんな事はない。
細胞の話や遺伝の話が面白いのである。
そして、半分を越えた辺りからだんだんと「脳」に結びつくような話が始まるのである。

胎生胚細胞やIPS細胞の話が増えてくる。特にIPS細胞がなければ、普通の肩の肉から脳はできないのがよくわかる。
そして、その細胞と遺伝の最近の進んでいる研究の様子が紹介され、驚かされる。いやぁ、ここまで進んでいるのかぁ~。

そして、最後のほうで漸く「脳」の話が少し出て来る。
な~んだ、ここまで引っ張っておいてこれだけかよ。なんて事は思わない。そう、それまでの話が面白いのである。そして、最後のほうまで読めば、ちゃんと「脳」の話に結びつているのが、よおく分かるのである。
面白かったです。

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