ガンで死にかけて12年、元気に働いています。 たむらようこ著 

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先日、まだ40歳くらいで下は3歳一番上は8歳の三人の子供がいる親戚の女性が乳ガンである事がわかった。
自分の歳が四捨五入すると70にもなるとガンで亡くなった人も周りでもずいぶんいるが、彼らが逝ったときに僕が感じたのは、人生の虚しさやはかなさであった。

しかし、三人の幼子とその若いお母さんを見ていると痛々しい。つい、我が子が3歳のときの自分を重ねてしまう。こんなつらい事はこの世にあるのかと思ってしまう。

そんな彼女に何かをしてあげたいと思っていろいろ調べたりしていて、出会ったのがこの本である。
たぶん、いろいろな事を医師に言われてこれからの事を想像しているに違いないが、経験したこともない事を想像しても不安ばかりが募るだけだろう。
だから、少しでもこれからの事が見通せるようになれば、少しはポジティブになれるかなと思って、この本を彼女にプレゼントした。

内容は、いたって簡単と言うか、さらりと流れていく。衝撃的だったろうガンの告知あたりの事も大変だっただろう抗がん剤治療のときの事も。
このあたりは、著者が前書きで書いているように患者の人達が闘病中に文章を読むのはつらいだろうからコミックなら受け入れやすいだろうという意図がズバリあたっていると思う。

そして、あっさり短時間で読み終わった。今までの僕なら、「なんだコストパフォーマンス悪いな」なんて思うところだが、今回は違った。これからの事が俯瞰して見える気がして良かった。
小説じゃないんだものハウトゥ本なんだもの。著者は自分の体験を後から来る人たちに伝えて道標にして欲しいと思ってこれを書いたんだもの。これでいいじゃなく、これがいいんだ。

僕は、この本を彼女に渡すとき「コミックだから簡単に読めるけど、その後も本棚に置いておいて思い出したら手に取ってみたら」と言っておいた。
その手渡したときの彼女が発した第一声が「この人、未だ生きてんの?」だった。そうか、そうなんだよね。
ブログや本でもガン闘病記はあるが、結構その著者は既に亡くなっていたりする。それは大変貴重なものであるには違いないが、その著者に自分を重ね合わせて、後何年しか自分には時間が残されていないと思ってしまう。そう思うのは当たり前でつらい事だと思う。

だから、たむらようこさん、ずっとずっと生きて下さい。あなたは、遠くからあなたを見つめている名もなき人々の希望の星なんだもの。

 

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