最近、ネットの記事なんかも見るようになってきた。そうすると文春オンラインなんぞも見るようになってきて、これがなかなかおもしろい。
そんな文春オンラインに載っていたのが、この”映画の奈落”である。
僕は、とうに還暦を過ぎたジジイだが、この年代は”仁義なき戦い”世代でもある。
新宿の映画館を出て歩き始めて、ふと自分が肩をいからせて歩いているのに気づいてひとり苦笑いしたのを憶えている。
この本を読むとそんな昔のことが蘇ってきた。
この本は、北陸代理戦争と言う映画の製作過程とその脚本家の高田宏治を軸に、実際にこの映画のモデルであるヤクザの親分が映画封切り直後に射殺されると言うショッキングな事件を平行して追っている。
それに加えて、東映の人気シリーズ”仁義なき戦い”以来のヤクザ映画の舞台裏やその周りで関わってきた人達、はたまたヤクザ映画のモデルになった人達やその周りの人々を丹念に取材して登場させている。
これらのちいさなエピソードや裏話がまたおもしろい。
僕なんか、当時からモデルになったヤクザと揉め事になるんじゃないかと思っていたものだけれど、やはり関係者には了承を得ていたと言う事が今回初めてわかった。
と言うより、ヤクザの協力で作られていたような雰囲気だったようだし、もともと映画業界自体が昔からヤクザと繋がりがあったようだ。
まあ、こんな話はどうでもいいんだけれど、僕自身この本を読んで二十歳頃に戻ったような不思議な感覚に襲われた。
いやはや、単純過ぎるなぁ。
まあ、もともと単純じゃなければ”仁義なき戦い”や”ダーティハリー”なんぞを好んで見には行かないだろう(笑)