またまた、魅力的な題名の本と出会ったので図書館で速攻で予約した。いつもそうだけど、世の中には、僕と同じ感覚の人が大勢いるようで借りられるまでずいぶん待たされた。
東洋史の研究者が書いた本と言う事なのだが、僕自身は東洋史なるものが世界史のひとつのマイナーなカテゴリーなのか、はたまた、ここ日本では、東洋なのだからメジャーな存在なのかも良くわかっていない。
しかし、そこら辺もこの本を読んでみるとなんとなく日本ではマイナーな存在で、虐げられているんじゃないかという匂いがしてきた。
と言うのも、この著者の書き方に日本史にちょっと言いたい事があるんだけどと、言う感じがプンプン匂うんだよなぁ。
それはさておき、日本の国の歴史をその地域全体の歴史を考えながら俯瞰して見られると言うのは、いままで出来そうで出来なかった僕としては、大変興味深く面白かった。
例えば、単一社会の日本と言う国が多元共存社会である東アジアでは特異な存在であって、そこが植民地経営がうまくいかなかった理由のひとつである。なんていう事は、いままでもいろんな本でチラチラと見たような気もするんだけれど、ずっと通してそういう観点で書かれた本を読んだ経験がない僕には面白かった。
そもそも、昔の歴代中国政権は辺境にある国には、頭を下げて定期的に貢物を持って来るくらいのゆるい関係で満足していたから日本も独立してやって来られたと思うし、逆に近年では、日本が大陸に出て行ったからいまだにヤバイ日本が近隣国で抜けきらないのかとか、僕自身も今まで以上に現在の出来事を考える際に100年、200年単位で東アジア各国の文化や国民気質を念頭におくべきだと感じた。
そして、ここが東アジアと言う事を考えれば当然中心は、今も昔も中国と言う事になる訳で、その中国の考え方や文化を通して日本や東アジア全体を見ると言うことは、現代の国際的なトピックを考える上で必要なことであると思う。
まあ、全体として面白く読ませて貰ったが、少々難点を上げれば、簡単なグラフも論文からそのまま引用したような感じで分かりづらかったり、言葉の定義もビシッと決まらないでその辺りを読み直して納得したりとかあって、もう少し一般読者に親切にしてくれたらと思った。
まあ、この辺りは編集者の責任かなと思うし、こんな本は、やはり専門外の自分の奥さんとかに最終チェックしてもらった方がいいのかもしれない。
さて、もう一冊のこの著者の本を読もうか、どうしようか、そして、東アジアに興味があると言う僕の娘に図書館の本ではなくこの本を買ってやろうかどうしようか、ただいま思案中。