WHAT IS LIFE?(生命とは何か) ポール・ナース著

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この本は、新聞の書評欄や今まで読んできた本繋がりとかで知ったのではない。
僕にとっては珍しいパターンだけれど、NHKラジオのカルチャーラジオ科学と人間と言うシリーズの「みんなの量子論」と言う番組があって、それがとても面白かった。
そして、その講師の方と言うのがこの本の訳者でもある竹内薫さんだった。

竹内薫さんは、僕のような耳の遠いジジイにも聞きやすいはっきりとした声で、とても博識なんだろうなと伺わせる余裕を持った話しぶり、そして、何よりリズミカルに楽しげに語る。そんな、楽しい番組を聞いた僕は、そうだこの人の書いた本を読んでみたいと思ってしまった。それで、ネットで検索したら出て来たのがこの本だった。

この本は、70歳を過ぎたノーベル賞学者でもあるポール・ナースが書いた最初の著書らしい。僕は、そんな人っているんだと驚きを持って読み始めた。
普通、ノーベル賞貰うような人が70歳過ぎまで本を一冊も書いた事がないなんてあり得ないでしょ。

最初は細胞学の基礎の基礎、中学で習うような話からだんだんと遺伝子の話、進化の話へとつづく。そして、細胞が増殖していく過程が科学反応である事を詳しく、ていねいに述べている。それも、正確で信頼性のある秩序だった化学反応の連続である事を。

このあたりまで読んで来て、僕は僕の中で途方もない化学反応が超スピードで同時に行われている実感が湧いてきて身震いした。それと同時に僕らが当たり前のように感じているこの地球という星に溢れる生き物たちの中で、正確無比に継続して行われている化学反応の膨大さに圧倒される気がした。

そして、代々いままで進化してきた情報を次の世代に伝える強固な情報保存性といろいろな用途に使われるたんぱく質の柔軟性とかまで来ると、僕はこの地球上の生物のシステムには不思議さまで感じてしまった。

最後のほうになって来るとだんだんと僕の中に生き物すべては、ひとつの親を持った兄弟のような感覚が芽生えてきた。
功成り名を遂げたノーベル賞受賞者の著者が、70歳過ぎて初めて書かざるを得なかったこの本、突き動かしたものを僕はゆっくりと考えてみよう、そう思った。

この本、字も大きくて量もあまり多くなくちょうどいいし、竹内薫さんの文章も平易でわかりやすい、ぜひ、中高生に薦めたい。

 

 

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