構想された真実 エリック・ホッファー自伝 エリック・ホッファー著

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この前のNHKの飛ぶ教室で取り上げられていたエリック・ホッファー自伝を読んでみた。
パーソナリティの高橋源一郎によるとかなり有名な人のようであるし、この本のあとがきにもアメリカでは大変有名な人だと書いてあったが、僕は知らなかった。
もしかしたら誰かに聞いて知っていたかもしれないが、まったく記憶になかった。

エリック・ホッファーは5歳のときに母親が彼を抱いたまま階段から落ち、7歳のときに母親が亡くなってその年に彼は視力を失ったそうだ。
そして、なぜか15歳の時視力が回復する。
1920年、18歳のときに父親が亡くなり彼は天涯孤独となり、放浪を始める。

いろいろな職を転々とし、季節労働者として働き、最後には港湾労働者としてサンフランシスコに住み着く。
この無頼と言うか、成り行き任せと言うか、そんな生活にも不安はまったくなかったと彼は言う。それは、自分の世話をしてくれたマーサと言う女性が「あなたは、40歳までしか生きられない」と言った事が心に刻み込まれていたからだと彼は言う。
そして、その放浪の間中、彼は本を読み思索に耽っていたようだ。その積み重ねが晩年の著作に集約されたのだろう。

僕は、本は少しは読んだかもしれないが思索に耽る事もなく、考える事と言えば、ごく身近な雑事や個人的な事を思い悩むくらいの凡人だが、自営業として30年程日本と言う社会で根無し草のような不安定な生活を送ってきたからだと思うが、彼が放浪とも言える人生に不安はまったくなかったと言う事が、共感と言うか納得できた。

なんと言うか、他人から見れば不安定な事も継続していると自分では安定して感じるというか。例えば、株式チャートの一週間分は不安定に見えるけれど、その一週間分を一年分並べてみると安定して見えるような感じじゃないかと思う。
他人から見れば不安定なようでも、そこが自分の居場所と思えば安心する。
そんな感じだろうか。

マーサから言われた、「あなたは、40歳までしか生きられない」と言う言葉が心に刻み込まれたと言う事も、僕自身幼い頃に母親に言われた事や渋谷の街頭で占い師に言われた言葉が脳裏に焼き付いていて、例えば、血液型の性格判断のようになんの科学的根拠もないのに、普段は心の奥底に潜んでいてある時ひょっこり現れて自分はこうなんだと思ってしまう。

そんなこんなで、この本を読みながら僕自身の人生を振り返ってみたり、ホッファーの人生の時々の心模様を想像してみたりしながら、この本を読んでみた。
そして、エリック・ホッファーと言う人について、むくむくと興味が湧いてきた。こんな哲学者とか思想家とか言われる人の著作を自伝から入ると言うのも珍しいと思うが、ぜひ彼の著作をまた読んでみようと思う。

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