資本主義の次に来る世界 ジェイソン・ヒッケル著

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ソ連がなくなって資本主義の勝利、社会主義より資本主義のほうが優れているなんて声が聞こえていたのも遥か昔のような気がする。
僕にとって社会主義がどうのこうのなんてどうでもいいんだけど、ちょっと待って、そもそも資本主義がダメだったから社会主義が出現したんじゃなかった?
そのダメだった資本主義をどうにかこうにか修正しながら誤魔化しながら今まできたんじゃなかったのか?

そんな思いを抱いて来た僕にこの本のタイトルは刺さった。
資本主義の次に来る世界、なんかワクワクするタイトルじゃないか。しかし、結論から先に言えば、まあ、そんなはっきりした別世界を提唱している訳ではない。

丁寧に資本主義の歴史から資本主義の本質と限界を述べて、このままじゃやっていけないよと言っている。地球温暖化だけではなく、例えば化学肥料をじゃぶじゃぶ使って窒素とリンが地球上でもう飽和状態だよとか、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)があらゆる方面で迫っていると警鐘を鳴らしている。
そして、それらの解決策にはテクノロジーは役に立たないと。

そういうプラネタリー・バウンダリーの原因は、資本主義の根本にある拡張性にあると述べている。常に成長をしなければならない資本主義と言うシステムに問題があるのだと。
そして、それに対処するには公共財を脱商品化したり、共有財産を増やしたり、広告を控えて消費を煽らないようにして、資源を浪費しない。

ちょっと待って、これって一周回って社会主義に戻らないの? という気がしてきた。まあ、そこまでは書いていないのだけれどそっち方向に今後進まざるを得ないという匂いはプンプンしてくる。

昔、バブルの頃に居酒屋でトヨタの売上の伸びが話題になったとき、このまま行ったらクルマは近い将来飽和状態になるんじゃないのかと言った人がいたけど、すかさず他の人が、大丈夫、そうなったら小学生にも免許を取らせるからと言って笑ったのを思い出す。
まあ、世界中、特に日本では、成長、成長と言う人ばかりでそんなところにちょっと違和感を覚える僕みたいな人間より、成長、成長と言っている人が読んでみるといい本かな。
いや、そんな成長人間が読んでも面白くもなんともないといいそうだなぁ。

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