僕の敬愛する加藤陽子先生の新刊、やっぱり人気があるんだな、図書館で予約してから借りるまで三か月かかってしまった。
ただ、正直、今回は書評集ということであまり期待していなかった。
というのも、普通は書評というのは本の紹介のためにあるものでしょ、だから、加藤陽子さんにおすすめされるにしても、まあ2~3冊だよね、それが書評だけの本になってて50冊以上も書評が並んでるなんてちょっと飽きて来そうな感じがしたから。
ただ、僕にとって馴染みのある毎日新聞の「今週の本棚」や月刊誌論座の「新・文庫主義」等に加藤さんが投稿したものなどを集めたものだそうなので、まあ、飽きる事はないだろうけど。
などと言う思いが頭をよぎった。
さて、この本を開いてみると下のように五つにわけられている。
Ⅰ.国家 国家の役割
Ⅱ.天皇 天皇という「孤独」
Ⅲ.戦争 戦争の教訓
Ⅳ.歴史 歴史を読む
Ⅴ.人物と文化 作品に宿る魂
これをちらっと見れば、はは~ん、やはり加藤陽子さんだから日本の近現代史の観点から選ばれているんだなと言うのが想像できるし、それはそうなんだけれども、中には、ジョン・ル・カレの「地下道の鳩」なんかもあって嬉しくなってしまったし、僕が想像したよりずっと広い範囲だ。書評のひとつひとつもその本の背景やそれぞれの著者に関するエピソードなども織り交ぜて飽きさせない。
そして、それらの本にまつわる人々や事柄、また関連する本、そんな事から加藤さんの教養、背後にある今まで読んだ本の数、それを想像するとホントにすごいなと思ってしまう。まあ、飯のタネだから当たり前だろと言えばそれまでだけれど、僕なんぞとは比べようもない。
僕は、この本を図書館で借りたのだけれど、こんな本は本棚の隅に置いておいて、暇なときにときたま開いて今度この中から何か読もうかな、なんていうのがいいんだよね。