琉球王朝崩壊の目撃者 喜舎場朝賢  山口栄鉄著

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沖縄の事は、ずっと気になっている。
僕が、日本で生まれて日本で育った日本人だから。
太平洋戦争のとき沖縄で地上戦があり、多くの沖縄の人達が犠牲になったから。
沖縄に日本の米軍基地の70%があるから、そして、米軍基地は沖縄本島の15%を占めているから。
紛争地でもない所にアメリカ海兵隊の基地があるのは、世界中で沖縄だけだから。
日本人が同じ国の同胞に嫌なことを押し付け、バカにして高い所から見下しているから。大阪の警察官が、沖縄の人にバカにしたことを言ったから。僕の周りに大阪の警察官みたいな人間がいるから。
そうじゃない。
いやいや、そうかもしれない。

僕は、日本人が明治以降やってきた事やそれを後押ししてきた国民性が、現在も脈々と日本人の心の奥底に流れていて、それが噴出する場所が沖縄という所なのかもしれないと感じている。

なのに、僕は沖縄について何も知らない、行った事もない。
僕が知っていることと言えば、江戸時代までは薩摩藩の支配下にあって、明治以降日本国の支配下にあって日本国内として認知されてきた事くらい。
なんで、琉球王朝があったのにいつのまにか植民地ではなく、日本国になったのか、何も知らない。

そんな訳で、この本を読んでみた。
喜舎場朝賢、この人は琉球王朝が明治新政府に統合されたときの結構偉いお役人だった人だ。
この朝賢が残した記録を元にこの本は書かれている。

この本は、研究書ではないので当たり前だが、余り深くは掘り下げてはいないが、充分その時代の雰囲気を伝えていておもしろい。
薩摩藩が軍艦を琉球に作らせようとした事や琉球使節団が東京を見物してまわるところなど、また、琉球には大奥があったとか、興味深い話はたくさん出て来る。

また、琉球王朝の最後の頃でも清に朝貢していたとか、清と薩摩の使節の接待の為に唐風と和風の建物を建てていたとか、とにかく、僕自身が勝手に描いていた薩摩絶対支配ではなく、結構、琉球独自の思惑で動いていたようなところも興味深く、好奇心をそそられた。

そして、薩摩藩も友好的に敬意をもって接していたようだし、琉球使節団が外交使節として天皇に拝謁しているところなど明治新政府もそれなりに気を使っていたように窺える。

とにかく、江戸から明治になる頃の琉球の王宮の中の話から薩摩や明治新政府がらみの話まで、琉球の立ち位置とか時代の雰囲気とかがわかる。
僕自身、知らないことだらけで大変興味深く読むことが出来た。

 

 

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