こないだひょんなことから吉祥寺の北口に行って来た。南口には、子供と一緒に井の頭公園とかジブリに行った記憶があるので十数年ぶりだと思うのだけれど、北口は何十年ぶりかなぁ。
とにかく、土曜日と言うこともあるのか南口も北口も人が多いのに驚いた。
昔、こんなに人がいたかな。でも、この昔と言っている僕の記憶の中の吉祥寺は、40年くらい前の吉祥寺でおまけにだいたい夜中にライブハウスなどをふらふらしていたのだから、人の数を比べるには無理がある。
南口の丸井の横の路地を歩いて行くが人通りが結構ある。両側には、小さな食べ物屋さんや洋服屋さんがお祭りの屋台のように続く。女子チームは、興味が湧いたお店を覗いているみたいだ。だいたい、僕は10m先で彼女達が追いつくまで手持無沙汰にしているが、たまに、一緒にお店に入ってああだこうだ言う時もある。まあ、独り言のようなものだけれど。
井の頭公園の池はすべて水を抜かれていて、なにか寒々しい。池の向こう側の林の中を歩くがすぐに道路があってクルマが走ってくる。
40年前も道路があったか、クルマが走っていたかは定かではないが、記憶にある僕が好きだった冬の武蔵野を思い起こさせる雰囲気は、今の井の頭公園にはない。
それとも、それは当時の学生だった僕が小説か何かを読んで勝手に抱いただけのイメージだったのかもしれない。
愚妻と娘と三人で、井の頭公園から駅までの道すがら南米の雑貨を売っているお店を見つけた。
僕は、どうも南米とかポリネシアとかの雑貨屋さんを見つけると良く入るのだけれど、なかなか買わない。
それでも、ちょうどうちの急須の口が欠けていたので、そのお店でこんなティーポットを買った。
なかなかいいと思って買ったんだけれど、うちのテーブルに置いてみると何か浮いた感じがする。おまけに欠けた急須に入っていた茶こしを入れてみると少し大きい。今は、仕方がないのでこのまま使っている。
そこから、ぷらぷらと親子三人で駅まで歩いてきた。
娘がロフトに行きたいと言うので、駅を通り越してサンロード商店街を進む。
このサンロードと言う名前もなんかバタ臭いなあと昔から思っていたけれど、中野のブロードウェイよりはましか。
女子チームはロフト、僕はベローチェでコーヒータイムと言うことになった。
この吉祥寺のベローチェ、いまどき喫煙席しかないのにびっくりした。ひんしゅくを覚悟で、ちょっと拍手。
主夫というのは、日頃の行動範囲が狭いので都内全体とかではどうか知らないけれど、僕の周りでは喫煙席オンリーのカフェチェーン店は知らない。いい悪いは別にして、一定の需要があると言うことだろう。
などとすまして言ってみたけれど、昨今の、時流に逆らうマイノリティは問答無用で排除すると言う日本の風潮に少し逆らっている感じがして気分がいい。
二時間程たった頃連絡が来て、買い物も終わったそうなので合流した。
もう夕方だし、今日はここで外食しようかと言うことになった。そして、三人ともそんなに空腹でもないと言うことで、ラーメンでもとなった。
でもなぁ、吉祥寺のラーメン店なんて知るわけないし、そもそも、ラーメンなんて主夫は年に数回行けばいいほうなんだし。それじゃ、ネットで調べてみるかと見てみると、あった一蘭じゃん。
「あの博多の中州の、ビル全体がちょうちん行列みたいな、あのお店だよね。」と娘が言った。
そう、娘が小学生のときに僕とふたりで中州あたりをブラブラしているときに見つけたちょうちんビル。
「そうだあの時は、にいちゃんの高校受験の時で小さな神社で合格祈願したよね。」
懐かしさも手伝って、初めての一蘭に行くことになった。
吉祥寺の一蘭は地下にあった。
折れ曲がった階段を降りていくと誰もいない。おお、すんなり入れるかなと入り口から覗いてみると中に7~8人が待っている。
ひとりなら並ぶまでしないけれど、今日は家族連れだし、あのちょうちんビルの一蘭だと盛り上がったこともあり、待つことにした。でも、十分もせずに店内に案内された。
入り口のドアの向こうに入るとすぐに食券自動販売機がある。それで食券を買って席が空くのを待つのだけれど、その待っている間にオプションのオーダーを用紙に書く。
麺はかためとか、味の濃さがなんとかかんとかとか、いろいろあったけど良く憶えていない。
すべてレギュラー、普通、基本、何もしない。
それから5分程で席に案内された。すべてカウンターのようだ。そして、そのカウンターのひとりひとりの間に仕切りがある。背中側の壁にコートが掛けられ、その同じ壁にティッシュの箱もあった。思いのほか狭くはない。
三人で並んで椅子に座り、ホッと一息したところで娘が気が付いた。カウンターの仕切りが折れ曲がるんだぁ。
まあ、三人で来ているのにこんなものない方が楽しいよね。僕、弁当を手で隠して食うような趣味ないし。
思ったより少し早くラーメンは出て来た。
スープは、まあ普通のとんこつ。ただ、ほんのちょっと匂った。愚妻は気づかないと言ったし、そんなに気にならない程度だと思うけど、”まったく臭みのないとんこつスープ”と店が謳っている程ではない。
と言うか、博多でとんこつ食べてそんなに匂うことはないし、脂ぎっていることもない、博多でも小倉でも昔からとんこつラーメンってそうだった。だからそれが平均というのが僕の感覚。
麺も普通というか、いい部類だと思う。しかし、驚いたのは焼き豚。未だかつてない薄さ。
観光地でカレーもあるけどラーメンもあるよという食堂とか、蕎麦屋でラーメンもあるよというお店とかにはあったかもしれない。でも、ラーメン専門店では経験がない薄さ。
小ねぎも申し訳程度で全員泳いでいて、何か寂しい感じがする。まあ、具は別注文すればいいと言えばそうなんだろうけど、これが790円かいなと言う感じ。ラーメンの値段の最近の相場なんて良く知らないけど、別注文すればいいというもんでもないでしょ。
これがウチのスタンダードですと言ったとき、すごく寂しい感じにならないのかなぁ。
これなら、丸亀製麺のうどんみたいに麺とつゆとちょっとの薬味だけが基本で、すべて具は選んで下さいというほうが、筋が通っているように思う。
30年くらい前だったか、確か長浜ラーメンだったと思うけれど、それが渋谷に進出してきたと聞いて大喜びで博多出身の友人と一緒に食べに行って落胆して帰ってきたときを思い出した。
まあ、博多の一蘭がどうなのかは知らないが、こういうのがいいと言う人もたくさんいるのだろう。
いろいろ書いたけれど別においしくないことはない。
ただ、”まったく臭みのないとんこつスープ”とか、”味集中カウンター”とか、いろいろ謳っているほどのことはなかった。
これが、600円未満なら「あそこは、具は少ないけど安くてうまいよね。」なんて言う感じかな。
とにかく、別に具を頼んでやっと一人前になる千円越えるようなラーメンは、僕の範疇を越えるのでテレビのグルメリポーターやラーメン趣味の人にお任せしたい。
吉祥寺一蘭は、普通のまずくない、具の貧相なラーメン屋さんだった。
でも、家族での久しぶりの外出と外食。
娘にしては、初めての吉祥寺ということで楽しかったようなのでなによりだった。
帰宅途中で予期せぬおまけに出会った。
噂のマリオカート、みんな楽しそう。