キッチンの悪魔 マルコ・ピエール・ホワイト著

Pocket

この本は、最年少でミシュランの三ツ星を獲った男、マルコ・ピエール・ホワイトの自伝である。
この人、料理界のロックスターなどと言われ、風貌からしてそれらしいのだけれど、クレームつけた客を店から追い出すなどなかなか過激なところもあったらしい。

そんな彼が、ときおり幼少期の思い出なども織り込みながら修業時代からレストラン経営で成功し、そして若くしてシェフを引退するまでを書いている。
それは料理に対する探究心、好奇心、職人魂と料理界でのし上がるのだと言う強烈な思いを感じさせる。

そして、そこまでしないと上には行けないのかと思う一方、それが出来るほど厨房にいる事が好きなんだと言う事が伝わってくる。
週一日の休み以外は毎日15~16時間働き、それ以外でもいつも料理の事を考えていると言うのは、体力も精神力も旺盛な若い時期だからこそ出来たのだろうけれど、凄いのひと言。

と言ったところで、ふと自分の事を思いだしてみると実は僕も年間通して月間300時間以上働いていた時期があった。
あの時は、早く職場に行って仕事をしたいと思っていたし、また、ここで書かれているマルコと同じように10時半まで仕事をして、それから酒を飲みに行って朝帰りし、そのまま寝ないで7時半には職場にいると言う事もあった。
あのころは、本当に楽しかったし充実していた。

おかげで彼は離婚も二度しているけれど充実していたに違いない。
そして、そんな働き方を10年以上続けていたと言うのだから離婚も仕方ないのだろう。

この本を読んでもうひとつ感じた事は、やっぱり一流の料理人と言うのは凄い。
と言うのは、十年以上修行したとして技術は身体で覚えるからいいとしても知識の蓄積がものすごい量なんじゃないかと思う。
修業時代は他人に指図されてルーティンワークが多いだろうから、余程自分からすすんで吸収しようとしないと知識なんて増えていかないだろう。

やはり、人の上を行く人と言うのは、持って生まれたセンスに加えて人一倍の探究心や好奇心旺盛な職人気質に溢れていると言うのが良く分かる。

とにかくこの本、著者であるマルコ・ピエール・ホワイトの魅力と料理というものに対する奥深さを感じられるなかなか楽しい本でした。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。