時代の抵抗者たち 青木理著

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青木理と言う人はテレビでしょっちゅう見かけているけれど本を読むのは初めてだ。
テレビと言ってもサンデーモーニング以外は見た事がないけれど、口語調の文で書かれていると読みながらつい顔が浮かんで来る。
そんな事はどうでもいいのだが、日本と言う社会やその時々の時代に抗った人達へのインタビューを元にまとめた本書は、とっつき易くて読みやすいが、日本を憂える抵抗の書だ。

この本に登場する人々は、知っている人もいれば知らない人もいる。
当たり前の事だが、知っている人達には僕の勝手なイメージをかぶせた上で読んでいる。

なかにし礼という人には、僕が学生時代に出会った夜の街の人達と同じ匂いがする。
大学出のヤクザの親分、ジャズピアニスト、クラブのママ、みんな僕より20~30歳くらい上だったから焼け跡闇市派だ。
もうひとつの世代は、僕より10歳くらい上の人達、全共闘くずれか街の遊び人。
なかにし礼は前者だから夜の街がとっても似合う。

もうひとり、僕のイメージが出来上がっている人は古賀誠。首までどっぷり自民党、それも建設業界とかと繋がっていそうな昔タイプの典型的な保守議員。
この人の言っている事には、正直予想外だったけれど嬉しくなった。

僕の親父も何十年も自民党員で、自宅が選挙事務所になった事もある。その親父が小泉さんが首相のときに怒って自民党を辞めてしまった。
そんな親父に古賀誠の言っている事を見せたらなんと言うだろう。
「当たり前や」「今頃、何言うとんかぁ遅いやろ」なんて言いそうだけど深く同意するだろう。
僕もそうだ。

ただ、昨今の政界、経済界、マスコミの状況を見ると何か大正から昭和初期にかけて戦争に突き進んだ頃って、こんな感じの社会状況だったんじゃないかと思ってしまう。
自民党がどうのこうのと言うよりも日本社会、日本民族がこうなんだと思ってしまう。
安倍政権が7年半続き、菅政権の支持率が40%あるなんて、僕は途方に暮れてしまう。

前川喜平も知っている。
と言っても顔を知っている程度だけど。
他の人達は全然知らない。ただ、顔も名前も知らないけれど彼らのやってきた事は誰でも知っているような業績だ。

そんな訳で、その顔も名前も知らなかった中村文則の掏摸を読んだ。ちょっとミーハーかなとも思うけれど、これが出会いと言うもんでしょ。
とにかく、この本は読み易くて登場人物もバランス良く誰にでも薦められる本だと思う。
ただ、ちょっと読み易いだけに量が足らない。登場人物の人数を増やしても一人当たりの量を増やしてもいいけど、もう5割増しくらいしてくれたらいいなぁ。
もちろん、これ誉め言葉のつもり。

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