硫黄島上陸 酒井聡平著

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硫黄島は、一般人は住んでいなくて自衛隊と米軍が使っているというのは、何かで読んで知っていた。それに以前、厚木基地の夜間離着陸訓練(NLP)を硫黄島に持って行くという事で話題になった。クリント・イーストウッドの映画「硫黄島からの手紙」も思い出す。
そう言えば、米軍の強襲揚陸艦イオー・ジマ(iwo jima)もあった。これで思い出すのは、日本人や日本のメディアは「いおうとう」と言っているのに、米軍はなんで「いおうじま」というのか不思議でならなかった。
これは、その硫黄島における遺骨収集活動にのめり込んだ新聞記者の記録である。

そんな知識しかない僕が、この本を読みだしてだんだん引き込まれていく。なんだろう、著者の熱量なのか?
著者の祖父が小笠原の父島に戦時中駐屯していたらしいが、それにしても執念としか言いようがないほどののめり込みようだ。それは、著者が調査活動や遺骨収集活動で出会った人々とのご縁なのか、それとも英霊の導きによるものなのか?

この硫黄島遺骨収集活動に参加している遺族の人達の思い入れもすごい。それは、幼い頃のおぼろげな父親、見たこともない父親ならなおさら、そこは永遠の父親の永遠の場所なのだろう。
僕のような人間がここで何を言おうがなんの意味もない。

僕の父の兄もインパールで戦死している。だから、僕の従兄もここに登場する遺族の人達と同じ思いを長い間抱いてきたのか、きっとそうだろう。
いつも、ニコニコと微笑みながら穏やかに理路整然と話をするあの従兄も、きっとそうだろう。
僕だって、同じ境遇なら長い人生死ぬまで心の片隅にまだ見ぬ父の姿を固くしまって生きていることだろう、きっとそうだろう。

また、硫黄島が過去に米軍の核戦略上の重要拠点であった事、そして、現在も自衛隊の管理の筈が米軍に忖度しながらの運用になっている事、それが故に遺骨収集が進まなかった点にも触れている。

ああ、ここでもアメリカの植民地日本が露になっているわけだ。沖縄と同じ。
日本の政治家は権力維持のためにアメリカを利用する、アメリカは軍事戦略のために日本を利用する。
結局、日本国民が馬鹿なんだと言われれば何も言えない。

 

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