最近、記憶力がめっきり減退して来たからでも僕の母親が認知症になったからでもなく、ただただ好奇心の赴くままこの本を手に取ってみた。
なになに、アルツハイマー病の研究は失敗しているのか、そんな感じで。
約100年前にアルツハイマーさんが、脳に何かが溜まっているのを発見して、これが痴呆の原因だとしてから現在まで、この病の原因はこの溜まっているもの即ちアミロイドβと呼ばれるタンパク質と言う事になっているらしい。と言うか、僕もそう思っていたし、先日のアルツハイマー病新薬のニュースのレカネマブが気になって検索して出て来た国立長寿医療研究センターのサイトでも、「アルツハイマー病の原因に働きかける世界ではじめての治療薬」とアルツハイマー病の原因はアミロイドβだと受け取れる書き方だった。
ところが、この本によるとアミロイドβと言うものは、アルツハイマー病の原因なのか、それとも結果として溜まっているのか未だにはっきりしていないらしい。
ホンマかいな?
アメリカでは、このアルツハイマー病の研究に莫大な政府予算を投入しているらしいのだが、この予算を受けている研究所だかセンターだかが、アルツハイマー病の原因はアミロイドβだとの立場をとっていると言う事で、それ以外の研究には予算がつきにくいと言う事なんだろう。
とにかく、何十年もの間アミロイドβ原因説が学会の主流でその他の研究成果を認めないもしくは無視し続けて来たと言う事らしい。
結局、地球温暖化論議の人類が原因90%以上説とそっくり。
即ち、18世紀頃に小氷河期が終わって地球は温暖化傾向にあるから、それを考慮すると人類関与度は60%くらいじゃないかと気候学者は言うんだけれど、研究費が出ないとか色々あって人類が原因90%以上説の立場をみんながとるというあれだね。
これじゃ、未だにアルツハイマー病の薬が出来ないのも当たり前だと著者は言っている。
また、レカネマブの事も製薬会社は臨床試験で27%の効果があると言っているけれども、0~18の段階でレカネマブ投与=1.21、偽薬投与=1.66 この差=0.45を1.66で割った27%の効果なんで、患者や家族や医師など関係者全員が効果を実感出来ないだろうとも言っている。これは、先の国立長寿医療研究センターのサイトにも書いてあった。
なんじゃこれと言いたくなる。
まあ、著者は製薬会社がないと薬も出来ないし臨床試験もやってるしなんていろいろ気を使っているんだけれど、やっぱりマスコミはきちんと報道して欲しいし、少なくともニュアンス的に正確でない方向に誘導しないで欲しいと思う。
とかなんとか、いろんな事を思いながら読んだのであっと言う間に読み終わってしまった。